極彩色サナトリウム

此処はちぐはぐサナトリウム 灰色の花さえ極彩色に変わりましょう  くすんだの貴方の心さえ極彩色に彩りましょう ご来院の際はお足元にどうぞお気を付けて 

カテゴリー "読書記録" の記事

『五十音式』

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今日はAmazonさんで頼んだ此方の『五十音式』も届いたのでもう一冊!
日々着々とPlastic Treeの楽曲及びヴォーカル有村さんの虜と為って行って居る花彩には、もう咽から手が出る程欲しかったご本です!
一度、ヴィレッジヴァンガードで見掛けたのを最後に見掛けなく為って仕舞い、本屋さんに聞いてみた処、絶版に為って仕舞って居ると知り、其れならば!とAmazonさんに助けを乞うて、入手しました。
有村さんが五年間、雑誌KERA!に掲載していらしたエッセイとも取れる、詩とも取れる、呟きとも取れる、そんな文章達とお写真達が一冊に纏まったものです。
もっと短い文章の集まりなのかなあと思って購入したのですが(KERA!は読んで居ましたが、当時の記憶は曖昧で。)、予想して居た以上にしっかりとした読み応えの有る一冊でしたので、読書記録のカテゴリに入れさせて戴くことにしました。
有村さんの文体は、何処かふわふわして居て、掴もうとしても手から摺り抜けて行って仕舞う様な、でもそっと心に沁みて来る様な、そんなイメージを抱きます。
そして、決してメロディに乗せて綴られて居る訳では無いのに、当て所の無いメロディが聴こえて来ると云う不思議な世界観。
やっぱり独特で素敵だなあと想いました。
後半半分はお写真だけの頁なのですが、其方も勿論とても素敵で^^*
レトロで古ぼけた背景やお色味のお写真は、有村さんにとても良くお似合いでいらっしゃいます。
そして此の方も老いと云うものを知りませんね・・・・。(遠い眼)

私の様なプラや有村さん初心者さんも、玄人(?)さんも、満足出来る一冊だと思います!
Amazonさんには在庫未だ御座いましたので、探していらっしゃる方は是非♪

『蛇と月と蛙』

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又もや少しばかり時間が経ちましたがこんにちは。
立て続けに外出して居たら見事に体調を崩して寝込み、今日迄読書すら不可能でした。
でも元気なので大丈夫です。
今日読んだ本、『蛇と月と蛙』も、図書館で借りて来た田口ランディさんの新しめ(二〇十一年発行)のご本です。
前回は私小説の様なエッセイの様なご本でしたが、今回はフィクションの短編集でした。
 其の一、「影のはなし」は、生きて居る人間にべったりと張り付いて居ると云う“影”に就いてのの考察と死に就いて描かれて居ます。
 其の二、「むしがいる」は、鳥インフルエンザに翻弄され、小さな息子が人を指差して言う、何かの象徴である“むし”に翻弄される女性のお話。
ラストには首をドスッと落とされるかの様な衝撃が有りました。
 其の三、「4ヶ月、3週と2日」は、同タイトルのルーマニア映画にまつわる(恐らく)ランディさんの体験、女性の解放、性、映画の主題と為る、“堕胎”に就いて描かれて居ます。
 其の四、「河童と遭う」は、ランディさん作品では珍しい男性主人公のお話で、迷信を疎み、芥川龍之介の小説「河童」を好むやや堅物の主人公が、知人の死をきっかけに沖縄へ行くことと為り、不思議な体験を通し、日々の細やかなことを想い直す様な、そんなお話です。
 其の五、「月夜の晩に」は、男にだらしのない母に、養子として実母の妹に育てられた主人公が、死に際の義母の傍らで、生理的に好きに為れない実母とのやりとりをする場面を物語の軸とし、幼少期を一緒に過ごした二匹の犬とのエピソード等を交えたお話です。
 其の六、「蛇と月と蛙」は、群像劇の様に、名前も明かされぬあらゆる人々(脚を失くした男性、カミサマ、味噌を作る人、童話の中の人物等々、兎に角多種多様な人々です)が、此の本の土台に在るキーワードと思しき“ヒト以外の生物と人間”に就いて、在り方を導き出してゆくお話です。

人間は人間と云う生き物だけで成り立って居る訳では決して無く、身の回りに何時も居る小さな(時に大きな)物言わぬもの達の存在が在ってこそなのだと云うことを忘れて仕舞っては、何時か滅びることに為るのではないかと云う、ランディさんの警告の様なものを感じ取りました。
どのお話も、何処か背筋が薄ら寒い情景を描いて居て、好き嫌いははっきり分かれて仕舞う作品だとは思いますが、最後迄読めば、此の作品は短編と云うより、ひとつのとても大切なテーマに沿って書かれた短編連作なのだなあと深く想わされる様な作品です。
どうか表紙にビビらずに(笑)読んでみられることをお勧めします。

全部あらすじをご紹介して居たらえらく長く為って仕舞いました。
此の作品に関しては、此れにて終了とさせて戴きます。

『ベッドタイム・ストーリー』

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本日の一冊は此方も大好き乙一氏の『ベッドタイム・ストーリー』。
此れは中古屋さんで購入しました。
乙一氏の新作をもう随分読んで居なくて飢えて居たのと、此の作品には坂本真綾さんの朗読CDも付属して居て、彼女のことも好きなので即買いでした。
ショートショートの絵本みたいな作品だったので、すらすらっと読めました。
お友達からはハンカチ必須だよ!!と言われて居て、覚悟して読んだのですが(過去の乙一氏の作品には散々泣かされて来たので/笑)、泪が出ると云うよりは、乙一氏の思考の深さにゾクゾクと鳥肌が立つ感じでした。
ストーリーは、短いのでネタバレする可能性が高いので軽くご紹介。
遠くのものを動かせるけれど、近くのものは動かせない超能力を持つと云う女の子と、やや現実主義の男の子の物語。
・・・本当に軽く為って仕舞いました(笑)。
今は朗読CDを聴き乍ら此れを書いて居るのですが、坂本真綾さん好きなのですが、私の様なおたくな読者以外には必要無いんじゃないかと思ってみたり・・・。
其れより、もっとショートショートを沢山書き溜めて分厚い一冊にして欲しかったなあと。
そして話が薄いと迄は言いませんが(短いから仕方有りませんし)、乙一氏の昔の作品に良く有った、ラストの大どんでん返しが無かったのも淋しかったです。
何だか残念だと想った点ばかり挙げて仕舞いましたが、全然残念な作品と云う訳では御座いませんよ!
イラストの効果も相まって、何かきらきらとした星空の光景が読んで居る間中頭の中に広がって居る素敵な世界観でしたし、最近私の興味の有る天体のお話だったので、又夜に空を見上げてみたくも為りました。
そんなお話です。
SFファンタジーなので現実から掛け離れて居る設定かと思いきや、ゾクゾクするリアリティも有って、まさに夜寝る前に読むのに丁度良い『ベッドタイム・ストーリー』でした。
次回作に期待を大にして待って居ます!!

『サンカーラ この世の断片をたぐり寄せて』

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久し振り過ぎる読書記録カテゴリの更新です!
以前Coccoさんの小説、『ポロメリア』から実に二年の月日が経って居ます。
病気やらお薬やらの所為で読書スランプに陥って仕舞って居たのが原因。
中々活字を追えませんでした。
・・・が!やっと速度は落ちましたが活字復活出来ました、わあい!!(泣)

そんな復活後第一冊は、やっぱり大好き、田口ランディさんの作品、『サンカーラ この世の断片をたぐり寄せて』。
初め、フィクション小説だと信じ込んで読み始めたのですが、どうやら此の作品、エッセイに限り無く近い私小説だったと云うことが発覚。
エッセイは何故かどうにもこうにも読まない主義なのですが、本当に田口ランディさんのだけは読めて仕舞う。
もっと彼女のことを知りたいと云う欲が湧き上がって来る。
なので此の作品も等しく、“知りたい欲”を掻き立てられ、休憩一時間で後は一気に読破致しました。
今日本や世界各国が抱えて居る問題。
東北地方太平洋沖地震から続く各地での災害、原発問題に原爆、死刑に自殺、病、水俣。
そして人が老い死にゆくと云うこと。
とても重いテーマです。
が、どれも眼を逸らしてはいけないし、此の国に住んで居る以上着いて回って来る問題です。
正直に申し上げますと、此の本を一冊読み切った処で、何ひとつ解決する筈も無ければ、解決策を見いだせる訳でも御座いません。
でもランディさんはとても正直に書かれました。
言葉は少し掻い摘んで書くので違いますが、「認めたくないけれど、此の非常事態に私はわくわくして居た」と。
「わくわく」、絶対アウトの不謹慎過ぎる禁止ワードです。
其れを敢えて書いて仕舞うランディさんの、自分の心に対する素直さ。
大きな出来事が起きて、てんやわんやの悲惨な大惨事の中でも、人は好奇心や知的好奇心をくすぐられ、「わくわく」して仕舞うものなのだなあと、衝撃的でしたが改めて思い知らされました。
又、ランディさんは何時もご自分に就いてお知りに為りたくて、ぐるぐるぐるぐると旅を続けていらっしゃる方なのだとも想いました。
自分を知る為に、日本の、世界の悲惨な事件の有った場所へ足を踏み入れる。
自分を知る為に、文章を書かれる。
総ては自分と云うものは何なのかを知る為に。
ううん、力量が足らなくて言葉にしたいことが言葉に為らないです、歯痒い。
でも、掻い摘んで書けば、私は此の本を読んでそんなことを感じました。
そして不思議なのが、ランディさんのご本と出会う時私はとても必然的に其のご本に引き寄せられて居る様に想います。
此の作品の中に出て来るワードも、何処か私の今の心境や現状に似通った部分が多くて。
私は今此の作品を読むべくして読んだ、と云う感じです。

決して軽いお話ではありません。
でも、ランディさん特有の重いものを重く書かれない文体と申しますか、そんな感じなので・・・あ、然も発売したのが去年の一月と、未だ新しい本なので、現代の抱える問題に少しだけでも耳を傾けてみたい、想いを巡らせてみたいと云う方にはお勧めです。
では長く為りましたが、此れにて終了!です。

『ポロメリア』

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気が付けば約二年振りの読書記録カテゴリーの更新です。
記録出来て居ない本も数冊有るのですが、此処数年で私の読書量は激減しました。
集中力が長く続かなく為ったのも一因ですが、理由は不明。
スランプの様なものだと自分では思って居ます。
読書スランプ。
もっと沢山読みたいのにな。

ご注意願いたいのは、此の度の読書記録は今迄の読書記録と異なり、"一読者目線"では無く"アーティストCoccoファン目線"で書いて居るのだと云うこと。
スランプさえ抜けて仕舞えば普通の読書記録も書いてゆきたいです。
読書記録から此のブログを読み始めて下さって居る方々もいらっしゃる様なので。

さてさて、そんな読書スランプを掻い潜って、一気に読めて仕舞ったのが、愛すべき歌姫、Coccoさん初の長編小説、『ポロメリア』
今迄貪[ムサボ]って来た雑誌のCoccoさんのインタヴュー記事、そしてご本人が書かれて来た文章、其れから何より紡がれて来た唄から推測するに、半自伝小説であろう作品です。
推測でものを言うのは良くないことですが、ご家族のこと、バレエのこと、生い立ちのこと・・・Coccoさんヲタクならば反応して仕舞う「Coccoさんワード」が始終散りばめられて居りましたので・・・。
ストーリーはと申しますと、"大人"と"子供"の丁度境目の時期に、不安定に、ぐらぐらと生きる主人公の身の回りで起きるほんの些細な出来事と、戻っては来ない大切な記憶の物語。
だと想って居ます。
きらきらと瞬く様な描写、だからと言って詩的過ぎる訳でも無く。
時に生々しくリアルに、どろどろと渦巻く様な描写、だからと言って不快感を誘うことは無く。
身体を小さく縮めて、何度も何度もぼろぼろ泣き乍ら読みました。
そんなに哀しいお話ではないのですけれど、Coccoさんを取り巻く環境や思想は私を酷く共感させるので。
Coccoさんは何時も惜しみの無い"愛"を振り撒いてらっしゃる様に見えます。
其れはもう、命懸けで。
そんな愛が、誰かを抱き締めたく為る様な愛しさが、痛々しい程に詰まった一冊です。
大事に大事に仕舞って置きたい過去を持って、今を必死に生きる人へお勧めの本だと想いました。
Coccoさんファンなら満足出来ること必至!必読です!
Coccoさんに関しては私、盲目的なので、Coccoさんファン以外の方が読んで如何感じられるかは定かでは有りません、ご免なさい・・・。

ラスト数ページの駆け抜ける様な描写が、何時かステージから掛け抜けて行ったCoccoさんの姿と重なって、余りの眩しさが眼の奥に焼き付いて離れません。

『トリップ』

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此方も六月か七月に読んだ作品で、角田光代さんの『トリップ』です。
中学生時代に、彼女の作品である『キッドナップ・ツアー』を読み、とても好きだと感じたのを覚えて居たので、此方の作品にも挑戦してみました。
・・・が、単刀直入に申しますと、此の作品が好きな方にはご免為さい、頁を捲[メク]るのが苦痛な位退屈で、読破するのに大変苦労致しました・・・(泣)
短編連作で、何処にでも有りそうな一つの小さな町の中に住む人々の間で起こる小さな事件や秘密が描かれて居ます。
・・・が、どのお話も印象が薄く、最後に総てのお話が繋がるのかと思いきや、其れ程の芸も無く。
一つ一つのお話は微妙にリンクして居る部分が有るのに、其処に全く意味を見出せませんでした。

『キッドナップ・ツアー』は主人公の境遇が自分と大変似て居て、感情移入し易かったからこそ楽しく読めたのかも知れません。
恐らく此の作者さんの作品に触れることはもう無いかと思われます・・・。

『キュア』

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大変長らく読書記録を更新して居ませんでした。
読んでも読書記録を書かずに放置して居ましたし、余り本を読む余裕が自分の中に無かったと云うのも有ります。
なので此方の作品も六月頃に読んだ本です。
大好きな田口ランディさんの『キュア』。
此の本だけでなく、次に紹介する本も、如何せん時間が経って居るもので、記憶が朧気で簡素な文章、と云うか粗筋[アラスジ]しか書けそうにありませんが、如何かご容赦下さいませ。

ストーリーは大変大まかに書くと、癌治療の敏腕医師が、人々の癌を切除してゆく内に、自分も癌に侵されて仕舞い、色々な人と出会ってゆく内に最期の決断をする、と云った感じです。
終末医療やスピリチュアルな描写はランディさんならではだったのですけれど、今一ストーリーにインパクトが無いと言うか、心に残るものが少なかったです。
コンセント』『アンテナ』『モザイク』に続く長編大作に為るのだと期待し過ぎて読んで仕舞った所為かも知れません。
けれどランディさんワールドは矢張り心地良くて、次回作に期待大ですっ。

『リッセット・ボタン』

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やっと今日読んだ本迄辿り着きました。(疲)
『卒業式はマリファナの花を抱いて』で痛く感動した、伊藤たかみさんの『リセット・ボタン』
ストーリーは、昔付き合って居た女性と同じ、荻原ミサと云う名前を自殺志願者のサイトで発見して仕舞った主人公と、もう一人の(後者の方の)荻原ミサの奇妙な関係を描いて居ます。
自殺を志願する荻原ミサは、自宅以外で、集中して遺書を書くスペースが欲しいと望みます。
そして主人公は自分の部屋を貸す代わりに、荻原ミサから食費や家賃を補助して貰うと云う約束を交わし、自然と恋心を抱いてゆくのです。
ラストシーンのあっけらかんとした描写には、果てしない虚空を感じました。
伊藤たかみさんは刹那的で、光の速さで駆けてゆく様な、若さ故の行動を描くのが本当に上手でいらっしゃるなぁ、と思いました。
だけれどやっぱりそんな風調が一際[ヒトキワ]色濃く描かれた『卒業式はマリファナの花束を抱いて』が自分の中では一押しです。
皆様も興味をお持ちに為られたら、是非拝読為さってみて下さいませ♪

『幻想小品集』

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此方は閉館間際の市立図書館で思わず手に取って、即座にカウンターに持って行って仕舞った一冊。
野ばらさんの短編集、『幻想小品集』
何故そんなに惹かれたかと申しますと、何を隠そう一話目に見慣れたお薬(睡眠導入剤)の名前が幾つも幾つも登場して居たから。
お薬ジャンキーには借りる他術が無かったのです(笑)
予想通り、一般の読者さんには恐らく全く理解出来ないであろう、お薬の名前を横文字で連発。
更には其の睡眠導入剤に呼称を付けて仕舞うのです。
Silece(サイレース)には"女王"、Myslee(マイスリー)には"令嬢"、Amoban(アモバン)には"少女"、Lendormin(レンドルミン)には"女優"、Vegetamin(ベゲタミン)には"娼婦"、Hirnamin(ヒルナミン)には"聖母"、Halcion(ハルシオン)には魔女、と云った風に。
勿論本編には何故其の様な呼称を付けたのかが描写されて居ります。
サイレース以外は私には効かないなぁ、とか、ベゲタミンとヒルナミン、如何やったら処方して貰えるのか知らん、等と莫迦なことを考えつつ読みましたが、呼称を付けて仕舞う程にお薬に魅せられて仕舞った野ばらさんと同じくお薬に魅力を感じて仕舞う私は始終嬉々として読んで仕舞うのでありました。

他のストーリーもお薬関連のお話が多かった様に思われますが、野ばら節はきっちり盛り込まれて居ります。
未読のお薬ジャンキーさんは、是非。(笑)

『鳥はみずからの力だけでは飛べない』

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此方は此のブログではお馴染みの、田口ランディさんの『鳥はみずからの力だけでは飛べない』
ランディさんが親友の引き籠って居る息子さんに宛てた十通の手紙、と云う名目で語られた一冊です。
フィクションなのかノンフィクション(エッセイ)なのかは毎度の如く判りません・・・(笑)
子供向けの口調や表現で書かれて居るので、何だかランディ作品の中では珍しく、余り良い印象を持てませんでした。
帯には「何故学校へ行かなくてはならないのだろう?大人になるってどういうこと?生きることにどんな意味がある?」等と記されて居るのですけれども、其の中の一つも解決して居ない様な・・・
故に後味もさっぱりし過ぎて居りました。
やっぱりランディさんは長編小説に限るな、なんて勝手に思って居ります。
でも決して悪い本ではありませんし、厚さの割りに読み易いので、先述したキーワードに興味を抱かれた方は是非。

『アッシュベイビー』

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お次は此方、金原ひとみさんの『アッシュベイビー』
此の作者さんの著作を読むのは此れで三冊目と為りました。
此の度も期待を裏切らない、自由奔放な文章と内容のエロさやグロさやエグさや深さ、そして此れ以上は無いだろうと云う程の刹那感が始終漂って居りました。
金原さんの作品で、自分が同調して仕舞うことは無かったのですけれど、今回は主人公の気持ちが痛く理解出来て仕舞って、複雑な気分でした。
特に同調して仕舞ったのは五十六頁から五十七頁。
全部書き出したいのですけれど、流石に色々と問題が出て来そうですので、一部抜き出してみます。
「ああ、いいね。とっても綺麗。この赤が私の体に流れていたなんて、想像出来ないよ。とっても綺麗だよ。私、血だらけならこんなに綺麗なのに、どうして私はこんなに汚いんだろう。どうしてこんなに汚くて馬鹿なんだろう。」
手元に本が有る方は気が向いたらもう一度頁を捲[メク]ってみて下さいね。

主人公は只管[ヒタスラ]に自分を求めて呉れる存在を求めます。
そして愛する人に殺して貰うことを切実に望みます。
叶わずにもがき、分裂してゆく彼女の意識、思考、身体。
賛否両論の多い作品でしょうけれど、乱暴な迄の文章の隙間や裏側に潜む切なさや哀しみが見えて来れば、屹度[キット]嫌悪感無く読めるのではないかな、なんて思ってみたり致します。

此の装丁も、決して美しい色彩が在る訳でも無く、モチーフは激しく歪んで居ると云うのに、如何しようも無く美しい。
そんな物語でした。

『まぶた』

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先ずは此方、小川洋子さんの『まぶた』
小川洋子さんは二面性の有る作家さんだなぁ、と改めて実感致しました。
『博士の愛した数式』を明るく暖かな面だと捉えたのならば、『薬指の標本』『妊娠カレンダー』、そして此の『まぶた』がダークサイドと呼べるのではないでしょうか。
勿論どちらも大好きで、小川さんの冷たくひんやりとした美しい日本語には何度読んでも溜息が出て仕舞います。
私は人に小川洋子さんの本を紹介する時、必ず使う表現が有るのですけれど、幼い頃に熱を出して寝込んで居る時に、母親の細く整った冷たい手で頬を包まれる様な、そんな風なのですよね。

さて、ストーリーですが、小川さんお得意の短編集です♪
全部で八つの物語が収録されて居ります。
五作目の「匂いの収集」は、『薬指の標本の』表題作と一貫した雰囲気で、物語も多少似通って居りました。
『薬指の標本』が大好きだった私には大変嬉しかったです。
又、六作目の「バックストローク」は、此処でも紹介した『偶然の祝福』とリンクして居り、ファンには嬉しい造りと為って居りました。
装丁もばっちり内容と合って居て、文句無しの一冊で御座いました。

『AMEBIC』

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今日はもう一冊ご紹介。
芥川賞を受賞されたことで有名な金原ひとみさんの『AMEBIC』
此の読書記録は短く終わりそうです・・・
此処迄感想を書き辛い本は初めてですので、或る意味レアです。(笑)
大まかなストーリーは、摂食障害者の女性が完璧に作り上げた洋菓子を作った傍からぐしゃぐしゃにしてみたり、婚約者の居る彼の居ない処で彼の婚約者を演じてみたり、分裂してみたり・・・
因みにタイトルの「アミービック」は、調べてみると、「曲芸的自己中心主義が脳を浸食する事による想像力の崩壊」と云う意味の略語なのだそうで、作中で主人公が自分自身の体の各部が分裂してどろどろ溶け合って居る様に感じて居ると云う処から付いたタイトルなのだろうなぁと思いました。
うぅ、やっぱり上手く言い表せません。
けれど私は賛否両論分かれた『蛇にピアス』の方が鋭くて斬新で好きでした。
文章や雰囲気や世界観は大好きなので、他の本も探して読んでみようと思って居ります♪

『夜回り先生のねがい』

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仮復活はしたものの何を更新して良いやら判らなかったので、少し前に読んだ本の紹介でもしようかと思います。
最後に読書記録のカテゴリーを更新したのは一年以上前なので、上手く調子が掴めるか判りませんが書いてみます。
病気のお陰でもう随分と本が読めなかったのですけれど(文字が逃げるのですよ/笑)、此処の処やっと少しずつ読める様に為って来たので、読み易い水谷先生の本、『夜回り先生の願い』を、リハビリの意味も込めて読んでみました。

本屋さんをうろついて居たら「渾身の最終章」だなんて書いてあった為、正か最悪の事態が起こったのかと想定致しましたが、そうではない様で大変安心致しました。
実は花彩は先生の講演会に行って最前列で公演を聞いて大泣きしつつ控え室にいらっしゃる先生と直接お話をしたことが有る程に先生の大ファン(少しニュアンスが違いますが)なのです。
もう約四年も前のことに為るのですけれど、本に記念のサイン迄して戴きました。

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“冬来春不遠”先生のお好きなお言葉です。
“冬来たりなば春遠からじ”。
冬が来たなら春も遠くはないんだよ、って意味です。
四年前の私は未だ患っては居なかったし、本の内容も全くの他人事で、けれど先生の生き方や優しい声に随分と心を動かされたのでした。
今読むと共感する部分が多く為って仕舞って、他人事として読めない部分も多々有りますので、何とも言い難いのですけれども(苦笑)

重い病を患ってらっしゃる為、恐らくもう寿命がそう長くない先生は、少しでも多く公演が出来る様に、と最終章と云う形を取られたのではないでしょうか。
内容に関しては皆様もご存知の方が多いでしょうけれど、今迄先生が出逢って来られた生徒さん方とのエピソードが一人一人、短編集の様な形で綴られて居ります。
本当に読み易い本ですが、内容もズドンと重く深いものと為って居りますので、興味がお有りの方は是非。


先生と直接お会いして、お部屋を出ようとした瞬間、とても小さな声で、「幸せに為ってね」と仰って下さったのを思い出すと、今でも泪が零れそうに為る花彩なのでした。

『ソウルズ』

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先日読んだのですけれど、アップして居りませんでした・・・
此のブログでは最早お馴染みの、田口ランディさんの『ソウルズ』
恐らく此れが一番新しいランディ作品なのではないでしょうか?
掌編小説集で、20~30頁程の短いお話が10話収録されて居ます。
内容は其々ですが、タイトルの通り、根底には"魂"と云うキーワードが置かれて居ます。

何だか良い意味で、肩の力の抜けた作品だな、と云うのが素直な感想です。
ランディさんの作品と言えば、『コンセント』に続く三部作にせよ『富士山』にせよ、本当に重い課題を描いた、気の抜けない、或る種の緊張感の漂う作品が多かった様に思うのですけれど、此の一冊は一つ一つのお話が短いことも有ってか、とてもさらりと読める仕様に為って居ります。
とは言え、ランディさんの得意とする分野(精神的な世界やシャーマン、終末医療、広島、沖縄等々)に関してはガッツリと描かれて居ります。
ランディさんには興味が有るけれど、行き成り重い内容のものはちょっと・・・と云う方にお勧めの一冊です。

彼女の作品を読む度に、ご自身の経験を最大限に生かした物語を書く方だなぁと思います。
小説とエッセイの境が非常に薄い作家さんだと、強く感じるのです。