極彩色サナトリウム

此処はちぐはぐサナトリウム 灰色の花さえ極彩色に変わりましょう  くすんだの貴方の心さえ極彩色に彩りましょう ご来院の際はお足元にどうぞお気を付けて 

これが最期だって光って居たい


十八日には首が飛ぶと思って居た。
四月の十二日迄居て良いと言われた。
泣きそうに為った。
厭に為って途中で辞めるのも勝手だと言われた。
でも其れじゃ弱い儘だと思った。
どんなに頑張っても終わりが来るのが決まって居るなんて云うのはあんまりにも切ないと思った。
でももう自分に負けたくない。
逃げたくないんだ、もう。
十二日迄居座らせて貰おうと思った。

朝から体調が悪くて出勤したくなくて仕方が無かった。
エスタロンモカ(カフェイン剤)を倍錠投下して、泪を呑み込んで家を出た。
笑顔を貼付けて働いた。
何とかふらふらの一日を終えた。
売上のレシートを見たら十六足、四万六千八百円売って居た。店内売上トップだった。
今度ばかりは大泣きした。
私の歪[イビツ]な笑顔を許して呉れて有り難う、お客様方。
一日耐え忍んで呉れて有り難う、私の身体。
迷惑しか掛けて居ない無能な私に居場所を与えて呉れて有り難う、店長さん。
何も返せないけれど、せめて十二日迄は溜め息漏らさずご奉仕させて戴きます。

明日は次為る勤務地の面接だ。
気持ち切り替えて行って来よう。

只々全部切り棄てても前に進もうとする私を、冷たいと形容する人が居た。
ご免ね。
生きてゆく為にはこうするしか無いんだ、私には。
ご免ね。
誰かを傷付けても其れを刻んで生きてゆくしか出来ないんだ、私には。
ご免ね、大好きだよ。

もう戻れない。
知って居る。
戻れない道を選んだのは私。
そう、知って居る。

其れでも私は進むよ。
ブレーキのぶっ壊れた自転車みたく坂道を転げ落ちても、其れが願わくば“前進”であります様に。
進め、前へ 前へ