極彩色サナトリウム

此処はちぐはぐサナトリウム 灰色の花さえ極彩色に変わりましょう  くすんだの貴方の心さえ極彩色に彩りましょう ご来院の際はお足元にどうぞお気を付けて 

もう少し もう少し あともう少し 生きる力が欲しい

一昨日のこと。
私はあの、痛々しくて生々しくて憎くて憎くて仕方が無かった、でも愛おしくて仕方が無かった場所、母校を訪問して参りました。
卒業してからもう四年も経つと云うのに、未だに物凄く頻繁に夢に見るのです。
学校生活のあれや此れや。
そしてバッと起き上って「学校行かなきゃ、行かなきゃ、遅れちゃう」と酷くパニックに陥るのです。
卒業した自覚が全くと言って良い程、無いのです。
そんな自分を断ち切りたかった一心です。
でも今迄はそんな勇気も覚悟も無かった。
だからと言って此処最近何が有った訳でも無く、でも丁度一年前の一月十三日にも髪をばっさり切ったりもして居るので、何かと自分にとって此の時期は変化の刻なのかも知れません。

通学路を、どんな気持ちで歩いて居たか想い出し乍ら一歩一歩踏み締めて、一歩一歩泪がぽろぽろ。
そうだ、此の道をあの踵の痛い革靴で歩いたんだ。
毎日、毎日。
イヤフォンは今も昔も必須だった。
Coccoさんでも口ずさんで、高台の何時もお花のお写真を撮って居たお花畑を抜けようかな、とも思ったのに、其処は荒れ荒んで居て、お写真の一枚も撮れないのが淋しくて、口ずさむ処ではありませんでした。
数年前、古き良き校舎を誰の発案か、ぶっ壊して新しい校舎を建てたのですが、何時も通って居た裏道は閉鎖されて居て、新しい道が出来て居ました。
更に今年の此の位の時期に行こうと思った理由は、母校の一番の特徴である中高一貫の女子校と云うのが、此の度の入試から男女共学に為って仕舞うと知ったからです。
そんなの最早母校じゃ無い。
どんどんご高齢の先生方だってお辞めに為ってゆく。
気が急いての一昨日、でした。

全く構造の判らない改築された校舎から事務室を見付け出し、入校許可書を貰っていざ、校内へ。
改築されたのは東館と呼ばれる建物と、本館の一部で、先ず一番初めにお会いしたかったのは保健室の先生で、保健室は場所は変わって居ましたが本館に有ったので、本館に移動しました。
一気に懐かしい匂いと、仄暗い独特の古い照明。
ドアを開けたら、変わらない先生の変わらないお優しい雰囲気が変わらず溢れて居て、勿論先生もお変わりなく、暖かくお迎えして下すって、抱き合って、泪ずびずび。
此の場所が在ったから、私は卒業出来たんだ。
学校の中で唯一心休まる場所でした。
近況を伝えて、次は職員室に。
懐かしい面々。
昔はあんなに憎んだのにね。
今じゃあ少しお歳を重ねられて丸く為られたおひとりおひとりが愛おしくて仕方が無かった。
誰もが私のお化粧した顔に驚いて、其れから暖かく「良く来たね、元気にしてるかね」ってお優しいお声を掛けて下すった。
中一で担任を持って下すった先生、私が高校に上がってからもずっと心配して下すって居て、其の先生は「何より生きてて呉れて良かった」等と言って下さるものだから、もう・・・!
本当は恐かった。
物凄く、其れはもう凄まじく恐かった。
高三で出席日数が足りなくて、卒業前学校を、先生方のスケジュールを、荒らし回ってのうのうと卒業して行った私が、もう一度見せる顔なんて無いじゃないか、って。
でも恐れる儘では季節は廻ってどんどん先へ進んで行って仕舞う。
失礼承知で訪問したら、誰も彼もあんなに暖かくて・・・。
私は後何度お礼を言ったら良いでしょうか、私は後何度お詫びすれば良いでしょうか。
有り難う御座います、ご免なさい。
私がもっと普通だったなら、普通の生徒と一緒に莫迦やって、先生に笑い乍ら怒られて、なんてことも出来たでしょうに。
こんなに重苦しい訪問じゃ無かったでしょうに。
でも其れを重苦しいものとされなかった先生は、やっぱり何時迄も“先生”なんだろうなあ・・・。

職員室を出たら校内ツアー。
新校舎の東館よりも、やっぱり行きたかったのは本館に在る高校時代の教室や講堂。
教室の前に来たら、もう気持ちは「きゃー!」泪は吹き飛んで懐かしさが込み上げて如何し様も無く為って。
そして教室直ぐ前の大きな窓から下に見える中庭。
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当日は曇って居たので余り綺麗に撮れませんでしたが、本当は苔生して古ぼけた煉瓦造りの感じが凄く素敵だったのですよ。
そして飛び降りるなら此処だと固く決めて居りました、何度も未遂しました、今では笑い話です(笑)
其れから今は使われて居ない(勿体無い!)旧正面玄関の大好きだったステンドグラス。
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光が差し込んできらきら、本当に美しいです。
後は毎朝チャペルをして居た大きな大きな講堂。
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眠いし怠いし夏は暑いし冬は極寒だしで、嫌煙され勝ちだったチャペルですが、今はもう一度受けてみたい。
木製の長椅子、座り慣れた遅刻者の座る席、もう一度座ってみたら、ひんやりが、寧ろ心地良かった。
最後に又保健室に戻って、先生と談笑して、お暇しました。

あの時、何故気付けなかったかなあ。
お前の憎んで嫌悪した場所はこんなに暖かかったんだよ。
恐いものなんて何ひとつ無い、総てに守られた場所だったのにね。
今に為って判るなんて、皮肉だなあ。
でも其れだけ、一歩引いて見られる様に為ったと云うことで、少しは大人に成れたと云うことなのでしょうか。

タイトルには亀田師匠が作詞作曲為さって、林檎嬢が唄ってらっしゃる「タイムカプセル」を引用させて戴きました。
「生きる力」欲しいよ。
此れから又一年が始まって、紆余曲折有っても生き抜く力が欲しい。
そんな気持ちも込めて勇気を捻り出した母校訪問。
此れで又少しだけでも前に進められれば良い。
行って良かった。
勇気を出して良かった。
もう母校訪問、此れが屹度[キット]最初で最後。
もうお会い出来ること無く人生を終える先生もいらっしゃるだろう。
でも私は歩いてゆこう。
此のひとことに尽きます。

其れでは、長々と最後迄お読み下すった方には感謝。
泪ぼとぼとの花彩がお送り致しました(笑)。